基本的な育て方
栽培のポイント・ツバキを乾燥から守る。ツバキは乾燥に弱いので鉢土がカラカラになる事がないように注意します。鉢が乾きすぎるようでは葉が日焼けをおこしてしまい、木が弱ってしまいます。鉢の乾き方に注意して、あまり乾くようであったらすぐに一回り大きな鉢に植え替えましょう。しかし何日も乾かないような大きな鉢や保水性のよい用土では、小木で花をつけるのは難しくなります。
梅雨明けから秋までは半日陰となるようにすると、葉焼けを防げますし、葉色も濃く保つ事ができます。冬期鉢植えは少々の霜は大丈夫ですが、鉢土がすっかり凍ってしまうようではツバキは枯れてしまいます。寒冷地では屋内に取り込みます。日ざしは弱くとも冬の風は乾いているので鉢土は乾くため、冬でも十分に水をやりましょう。
植え替え、剪定
花芽をつけるコツは肥料のやり方にある「日ごろ使い慣れた土を用いて植え替えましょう」これが野口流。まず、苗木の元土を少し落として根先が新しい用土の中に入るようにしてやります。元土を少し落として根先が新しい用土の中に入るようにしてやります。元土と土質が違うと新根が新しい用土となじみにくく、生育に障害を起こす事があるからです。
鉢の大きさは用土にもよりますが、最も日照が強く乾きやすい時期でも、朝1回水やりをすれば次の日の朝まで水をやらなくても枯れることのないような、保水性を保てる大きさが必要です。小木でも花芽をつけるコツは、肥料のやり方にあります。ツバキは春に伸びる定芽に十分に肥料が効くようにしてください。この新芽の伸びあがる5月頃に肥料が少ないと、花芽はつきにくいのです。
定芽、花芽を落とさない。ツバキは春に伸びだす定芽の先にしか基本的には花芽をつけません。そのため花後などに強く剪定して定芽を切り落としてしまうと、小さなわき芽が育ち、花がつきにくい芽(おくれ芽)になります。樹勢を整えて充実した定芽を作らせる事が大切です。
強い枝や徒長した枝は10~11月頃に切り落とします。こうすると定芽のない所でも、すぐにぷつぷつと芽ができ、春の芽出しに間に合います。早く切りつめてしうまうとすぐに徒長枝が伸び出してしまうので、この時は見つけ次第芽先を折り取ってしまうのも方法です。気温が下がってくれば芽は伸びなくなります。不用枝や下垂する枝(弱小枝)は、花芽がある場合は花を見たあとで切り捨ててもかまいません。
更新剪定のすすめ
植木屋さんなどは弱って樹勢が衰えることを「木がガレる」などといいます。このような葉が枯れて落葉したり枝が枯れたりする状態を改善するには、病気のない元気な若枝で木を作り直すということを考えます。木の剪定は樹形を整えるために行われますが、このとき椿のような花木は枝先に花を付け、これを咲かせて楽しむ植物であるために、蕾を取り去るなどして花を咲かせないようにしないと、この枝先に樹勢をつけるのが難しいことになります。
そこで、枝を透かせるような剪定ではなく、樹冠や横枝の最先端部の小枝を切り捨てるような剪定によって樹勢の回復をはかるようにします。花がついて弱った小枝の先を元気にするよりも、幹や太枝から元気に伸びだした内側の新枝を育ててやるのです。樹冠の弱った枝を切り詰めると内側の枝や幹に日が当たるようになります。
そうするとその下の内枝は元気に伸びだし、幹に近い太い枝から胴吹きもして来ます。この元気な枝によって木は若返らせる事ができます。切り落とした最先端部の下に残した先枝などには花が付きますから、花を楽しみながら樹勢を回復させることができます。このような更新剪定を併用し、普段から枝先を切り詰めるようにしていると樹勢が保たれ病気がつきにくい椿を育てる事ができると思います。
病気などが入って弱った木。病気は大抵の場合は新芽や枝先から入るので幹はまだ元気です。幹に近い枝を復活させる為に弱った先枝を剪定します。幹から遠い枝先に栄養を送るのは木にしても負担なのです。
先枝を落としてやる事で、余力が出た太い枝から病気にかかっていない健康な新芽がでて来ます。これが更新剪定です。病気でなくとも樹勢が落ちた木などでも効果が見込めます。
ビンつぎ
初心者でも簡単!ツバキのビンつぎ。花が咲いている時に切り枝などを手に入れたときは、ビンつぎをしてみてはいかがでしょうか。図のように台木と穂木をつぎ合わせ、穂木の枝の一端は小さな容器に水をさしておけば枯れません。そのうちに削り合わせておいた枝どうしがくっついてしまいます。穂木が伸びだしてきたら、切り残しておいた台木の上部を切り取ります。少し時間はかかりますが、接木の方法としては一番確実で、作業も管理も簡単です。この方法で、庭木のツバキの1枝を、好みの品種につぎ替えることもできます。